日本の山は、いま。


木々が育ち、鳥や虫や動物たちが集い、豊かな水やたくさんの実りを与えてくれる山。四季折々の美しい姿を見せてくれる日本の山々。実は長い間とても厳しい状況にあること、ご存知ですか?日本には昔から、近くの山の木を使って家を建てる習慣がありました。そして第二次世界大戦では木材燃料としても大量に使われました。戦後の高度成長期になると、復興によってますます木材需要が高まったことから、国は成長の早い針葉樹を植える政策を全国の山に行いました。それでも足りないと、輸入木材の関税撤廃をした結果、外国からの木材輸入が急激に増えていきました。価格も安くて使いやすいため利用はどんどん増え、国産材の利用は激減しました。1955年は94.5%だった日本の木材自給率、2000年にはわずか18.2%にまで下がってしまいました。2020年には35.8%と少し持ち直しましたが、それでも日本で使われている木材の7割は外国産材です。


杉や檜は、住宅などの構造材として使える太さになる樹齢60年ほどで伐ることが多く、戦後すぐに植林されたものが全国に育っています。でも、今60年生の木を伐って市場に出しても、かなり安い値段でしか売り買いされない。林業だけを生業にすることが難しい状況で、放置される山も出てきてしまいました。

九州の山の杉を暮らしの中へ

自然発生的に生まれた森は、土地に合う様に変化してバランスがとれています。でも人工的に植えられたものについては、人の手がかかる前提の山や森なのです。日本では昔から、杉が燃料や建築・暮らしの道具の素材として人々の生活に寄り沿ってきました。だから昔から植林文化があった。でも、植林したら植林したなりにずっと手をかけていかないと、山は荒れてしまいます。 山の荒廃を止めるには、木を使い、山を健康な状態に保つために循環させることも大切です。国も木材利用の促進を色々な角度から進めています。tomoenokiでも、樹齢60年以上の大径木(たいけいぼく)を板材として使うことで、心地よい暮らしをつくりながら、豊かな山を守るために少しでも貢献できればと考えています。