山からあなたまでの道のり


tomoenokiの道具たちは全て九州の山の木から出来ています。それは全て、デザイナー自ら山を育てる人たちの元を訪ね、大切に育てられた山や木の素晴らしさを体感し、想いを伺い、直接お預かりします。この日は、大分県日田市中津江村『田島山業』さんの元へ。美しい森で長い長いあいだ生きた杉の木。幸せそうな姿がそこにはありました。


樹齢60十年以上の杉の木は慎重に選定され伐採後、同じく日田市中津江村の『川津製材所』へ運ばれ、板材となります。 「山主が大切に育てた良材。いかに無駄なところなく全部使い切るかを、いつも大切に思っています。」と話すのは、川津製材所の川津靖幸さん。


日田地方で育つ杉の樹種「ヤブクグリ」は、粘り気が強く頑丈なのが特徴のひとつ。節があったり曲がっているところを個性ととらえ、最大限に活かすよう製材されています。木の曲がりを見ながら丁寧に丁寧に縦方向に製材することで乾燥後の反りを抑えるとか。それは、山や木を愛し、育てた人への敬意を大切にする、真のプロフェッショナルだからこそなせる技です。


川津さんに製材された杉の板材たちは、再び田島山業さんの元へ。製材後は数年かけて天然乾燥されます。この日並んでいたのは、2014年から7年間もお日さまの元で乾燥されたもの。 デザイナーがtomoenokiの道具たちの寸法に合わせて、少しも無駄のないようにサイズをチェックし、受け取る板材を決めていきます。


受け取った板材は、一路 福岡県北九州市の製作所『SHINSEI WOOD(シンセイウッド)』さんへ。美しい杉の無垢材から暮らしの道具へと変身させてくれます。地元に根付き、確かな技術を持つ職人さんが、日々その腕を磨きながらオリジナルオーダーの家具などを製作しています。


tomoenoki第一号のテーブルと棚をつくってくれたのは、西さんを中心としたチームの皆さん。巴(ともえ)型という特殊な形を面白がって、デザイナーのイメージ通り細かなところまで丁寧に仕上げてくれました。tomoeテーブル・シェルフのパーツを切り取った後、残りの部分はtomoeボードに。大切な木材は、残さず隅々まで活かされています。


tomoenokiの道具たちは、山で木を育てる人・製材する人・デザインする人・つくる人…みんなが直接繋がって、杉の木を慈しみながら大事に大事につくりあげます。そして。そんな豊かな山の恵みの和は、使うあなたが加わって、ぐんと広がっていくことでしょう。tomoenokiでは、使い始めてからも山と繋がり続けられるよう、いろいろな仕組みを計画中です。使いながら触れながら、山と共に生きる気持ちがたくさんの人の心に生まれることを願っています。