木の話 杉の話


tomoenokiでつかうのは、九州の山の『杉』の無垢材です。 無垢材とは、山に育った木を切ってそれを製材したままのもの。表面から中心まで木のまんま。当たり前?と思われるかもしれませんが、木製家具と呼ばれ一見すべてが木に見えるものでも、表面だけを木のシートでくるんで仕上げているものが多いのです。tomoenokiの道具たちは全て無垢材で仕上げます。表面から中心まで、全てが九州の山の杉。それも、育てる方の顔が見える杉の木で、天然乾燥されたものです。

どうして杉なのか?

杉は日本の固有種です。法隆寺や千利休の茶室などにも利用され、古くから日本建築の代表的な建材として親しまれてきました。杉の魅力を挙げると…

・木目の美しさ
・空気を多く含むので、保温や断熱に優れている
・調湿作用が高く、湿気を吸収してくれる
・軽くてやわらかく、衝撃を優しく吸収してくれる
・味わいのある経年劣化を楽しむことができる

tomoeテーブルやtomoeシェルフを置いた部屋に入った瞬間、杉の木の香りがふわりと迎えてくれます。その香りの効果について、九州大学の研究グループが次のように発表しました。

杉の内装空間で仕事や作業をすると……
・杉の香り成分(主にセスキテルペン類)が影響して副交感神経が優位になり
   リラックス、血圧を下げる効果がある (*1)
・集中力・注意力が向上し作業効率が高まることが、脳波を測定した研究結果からも示唆される (*2)
・木の香りを嗅いだ後は、アルファ波振幅が速やかに上昇することから、
   脳疲労回復効果が示される。(*3)


杉の香りを嗅ぐと、ふーっと深呼吸したくなるのはその香り成分の効果からだと、上記の結果からわかります。 そしてこの香り成分を、木材が乾燥する段階で、できるだけ失わないようにする方法は、天然(天日)乾燥です。でも、スピードが問われる現代では、木材乾燥についても化石エネルギー(石油・石炭・天然ガスなどのこと)を使い、短時間で乾燥する高温乾燥がほとんど。tomoenokiでは、7年以上天然乾燥させた木材を使い、特別な塗料を使っているので、杉の香りが残っています。


天高くまっすぐに成長する杉の姿は凛として美しく、柔らかな木目と色合いが昔から日本で好まれてきました。無垢材をつかう時は、少しだけお手入れにコツが必要ですが、少しずつ変わっていく経年美を楽しみながら過ごしていけるのも、魅力の一つだと考えています。

*1 「スギ無垢材もしくは非無垢材を内装に使用した住環境におけるヒトへの生理学的・心理学的影響」 第26回木材学会九州支部大会, 2019.
*2「乾燥スギ内装材を用いた居住空間が作業課題における心理および脳機能に与える影響」第26回木材学会九州支部大会, 2019. 「乾燥スギ内装材を用いた居住空間が作業課題における心理および脳機能に与える影響」第26回木材学会九州支部大会, 2019. 「スギ材を用いた木質居住環境の香りがヒトの脳内の視覚性注意へ与える影響」 第70回日本木材学会大会, 2020.